父がそこそこの読書家で、漫画・雑誌・文庫・小説・新書・ハードカバー問わず本を読みあさる人だ。
その姿勢は僕にもしっかり受け継がれたわけだが、
読み終わった本で保存フィルタにかからないものはどんどん処分(あげたり捨てたり)する父が
もはや書庫と化した旧僕部屋に残していくお眼鏡にかかった書籍群のなかで
僕が最も好きな本が『道具と機械の本』だ。
ー ドラゴンクエストシリーズより働く機械代表キラーマシン様 ー
高校を卒業して一人暮らしを始めるときにこっそり持って行こうとしたのに珍しく父に拒絶されたので、
実家に帰るたびになんとなくページを開いてはなんとしても持ち出したい。。。と思っていた。
買えばいいのにとは言えないくらい金欠大学生には高かったんですよ。定価が8,000円近い。
他にも欲しい本が沢山あるし金は無いしで
実家にあるならまあいいやと妥協していたのです。
そんな『道具と機械の本』に最近新装版が出たのを悪魔的書籍紹介サイト「HONZ」で知った。
サイト見ておおマジか!と思いながら無意識に紀伊国屋の取り置き頼んで久々の対面に大興奮です。
『道具と機械の本』
デビッドマコーレイ著
岩波書店
\7,980-
■体裁=A4判変型・上製・カバー・400頁
■ISBN978-4-00-009889-2 C0750
刃物は何故切れるのか。
どうしてカギがかかり、開くのか。
変速ギアはどのようにかみ合い動くのか。
日常的に使っている物の中で仕組みが分からないものは多い。
知らなくたって生きていける。
でもみんな結構知りたいでしょ。テレビで工場見学系見るの好きでしょ。
僕は好きだ。旅先でも工場見学に行ってしまう(主に酒関係)。
iPhoneやMacは最早内部でどのように動いているか分からないけれど、
それでもiFixitの分解画像には興奮してしまうよね。
『道具と機械の本』では”てこからコンピュータまで”という副題にあるように
今の生活になくてはならない、基本的なものばかりが題材として取り上げられ、
例えば鍵穴や自動車のギアボックス内のような
工場にでも行かない限り目にすることが出来ないものの中身、
何故それが動くのか、どのように動くのかという仕組みと物理法則、
何故それが必要とされたのかという「道具と機械の歴史」やストーリーが、
精緻でユーモラス溢れる絵の数々を用いた見開きで説明される。
この絵がすごく楽しいんだ。
絵本のように暖かみがあるけれどしっかり機械を表現したすばらしい絵だ。
ギアボックスのページは好きすぎてポスターにしたいと思う程良い。
レゴブロックで何かを組み立てるのも大好きだったが、
道具と機械の本を読みながら機械の仕組みを知り、
日常生活で例えばカギを開けるとき、
この中では今こんなことが起きているんだなと考えながら生きるのは
人見知り少年タケシにとって楽しい日常だったのです。
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今こうして書いていて気付いたけれど、
物事の仕組みを知ることに興味を持つようになったのは、
この本を読んだからかぼんやり持っていた興味がこの本で確立されたのか、
どちらが先かはわからないが、この本のお陰で仕組みを知る楽しさを身につけたのだと思う。
いつか子どもが出来たら一緒に読みたい、
そしてこの本が欲しいと言われたら自分で働いて買えと言う、
そういう本です。
一家に一冊。即買え。