0-4敗退で夢もチボーも無い、ということでもない。
意外と攻め込めた辺りは昨年とは違うんだな。
カターレ富山に命や生活を捧げてもおらず、
かといって他に追いかけたいJチームがあるとも言えず、
地元にチームがあることのありがたみを享受したいという思いが先行して試合を見始めて5年。
ようやくサッカーチームらしい試合をするようになり、
人前でも「今年は良いサッカーしているんですよ」と言えるようにもなり、
土日に仕事をしなくて良い(暦の上では)仕事に就いてリズムが出て来たこともあって、
今年はちょくちょく現地観戦をしている。
スタジアムに行くのってやっぱり面白い。みんなも一度行ってみたら良い。
色々な人間がいて、悲喜交々を1時間半に凝縮して見せつけられる。
今の世の中、怒ったり笑ったり呆然としたり祈ったりする人をこれほど多く見れる場所なんて他には無い。
スタジアムに行くと自然と声が出てくる。
声を出す自分に驚いていた頃もあったけれど、しばらくしたら慣れてきて当たり前になった。
気持ち良さそうにヤジを飛ばすおっさんもいる。俺も他から見たらそんなもんかもしれない。
いけええとか、とめろおおとか、右だ左だああと、松木安太郎みたいになっている。
実に心地よい。
基本一人で行くし、ゴール裏にも行かないでメインスタンドのどこかでのんびりと見ている。
ビールを買う日もあるし、水だけで済ます日もあるし、今日は寒そうだったから水筒にホットウイスキーを作って持って行った。
そういうものをちびちび飲みつつ、どこを見るとも無く全体を見渡す時間や、
お、そういえば今日は遠藤がいるなあと遠藤を探すけど大したプレーをしていなくて、
今日で言えば家長、あとは倉田。家長のボディバランスとスルーパスは見ていてうなった。こりゃあダメだ。
倉田のハードワークは清々しかった。前半冒頭、多分プレー外で足助にひっかけられて怒っていたのを見て若いなあと思っていたが、
もう退場にしておきたかったくらいに動いていた。
かけひきやポジション取りの面白さもわかってきたから、選手を個々に追いかけては試合のポイントはどこかなあと評論家気取りである。
で、合間に声が出る。
今日のカターレは裏を狙われてDFラインが落ち着かず、たまに6人のラインになってしまっていた。
好調のバロメータはDFラインの人数だと思う。
DFラインが3人で持ちこたえていれば、ピッチに12人いるんじゃないかという運動量が活きて細かいパスが繋がっている。
今日みたいに、家長や二川や遠藤のような、溜めも出来るわパスも出せるわドリブルもするわという選手が多くて、
レアンドロと倉田のような切り裂いてラインを破ろうとする選手が組合わさると、
こんなにも裏を使われてしまうんだなと思って見ていた。
裏を取られることは想定済みのサッカーではあるけれど、真ん中もサイドも破れるガンバには相性が悪いわ。
今日は出会い頭に一点取られてしまい、前半を棒に振る事になったのが痛い。
恐らく、30分までは持ちこたえようみたいな話をしていたはずで、後半勝負だったんじゃないかな。
それがいきなりの失点。攻めるのかそのままなのか中途半端になってしまった。
2点目が怖くてラインもあげられない。
選手の距離が離れてパスが出せないから苦し紛れのロングパス。でロストボールが多かった。
西川はボディバランスは優れているけれどポストがへたくそだ。当ててもほとんど失ってしまう。
これは苦し紛れの場所にボールが来るから仕方のない事だけど、これほど勝率の低いプレーを選択し続けたらいかんとおっさんは思う。
今日の試合の前に、遠藤を取材した「眼・術・戦」という本を読んだ。
眼・術・戦 ヤット流ゲームメイクの極意 | フットボールチャンネル
http://www.footballchannel.jp/2013/04/03/post3472/
イキナリ話をずらすけど、サッカー選手の本は選手自身が著者の場合はダメな本が多い。
取材本がいい。サッカー選手はサッカーで表現するのが仕事であって、文章が面白い人は少ない。
本としての構成まで考えたらなおさらだ。監督本は良作が多いけど、警戒を怠ってはいけない。
この本は西部謙司氏の遠藤への取材をもとに構成されていて、非常によく出来ていた。
サッカー選手の言葉を人類の言葉にきちんとなおしてくれている。
眼術戦で知る遠藤の考え方で、大きなものの一つはリスクマネジメントである。
サッカーの試合上でのリスクとはなにか。リスクをどうコントロールするかがよく現れて整理されている。
様々な選手のインタビューでリスクをどうマネジメントするかを気をつけました、みたいな話が出てくるようになったが、
遠藤のマネジメント術はシンプルだが強固だ。
今は酔っぱらっているので引用するのも本を取りに行くのも面倒だから割愛するが、
遠藤とカターレの選手たちのリスクマネジメントはレベルが違う。
遠藤はその視野の広さと技術の高さがあってこそ出来ると言えばそうなのだが、
ある意味では己を知ってこそのリスクマネジメント術である。
カターレの選手はどうか。
映像で見返したわけではないから間違っているかもしれないけれど、
朝日がバックパスを返す場面が多かったと思う。
遠藤もバックパス論を語っていて、バックパスの考え方も深いわーすごいわーと感心していたが、
朝日のバックパスはリスクを過大に見積もってのバックパスに見えた。
率直に言えば前向いて次のプレー出来るのになんで後ろに戻すんだ朝日。
トラップ、ドリブル、パス。
全てにおいて、カターレとガンバの選手の精度が違っているのがよく分かった試合でもあった。
ただでさえ県総合公園のピッチはでこぼこだが、雨で芝生もすべりやすい。
ホームなのに滑って転ぶのはカターレの選手の方が多い。ガンバも滑るが家長とかは楽勝に見えた。
そんなピッチでのボールコントロールで、数十センチから下手すると数メートル、置きたい場所にボールを置く技術に差があった。
こうなるとリスクマネジメントも難しいだろうとは思う。
だが、今日のリスクは何だろうかと考えたら、沢山のお客さんに攻めきるカターレを見せるか見せないか。ではなかったか。
手も足も出ないのではなく、J1みたいなチーム相手に堂々と渡り合うサッカーを見せることが目的で、
見せない方向に行く事がリスクではなかったか。
こんな地方都市にもサッカー観戦の潜在需要がまだまだあることが分かったという一点で今日の試合はとても有意義であった。
とすれば、今日来たお客さんを引きつけるものはなんだったのだろうな。
朝日がワンタッチでバックパスで返さずに前を向いてシュートに繋げる場面が一度あれば、
後半30分を過ぎてどんどんと帰ってしまうお客さんを少し減らす事ができたのではないか。
いや、朝日だけのせいではなくてモノのたとえではあるんだけれど。
サッカーのいいところは残酷なところで、悪天候でも大概開催するし、一方的に攻められることも多い。
そのくせ事故みたいな点が実力以上の力を出して守っていたチームに襲いかかることもある。
なんとも惨いスポーツである。
その惨さのなかに一縷の望みを繋げる事が出来たかどうか。
僕はこんなに散々色々と言いつつも今日のサッカーにそれを見いだした。
ショートパスが繋がった時間はすごく良かった。ショートパスが回ればロングパスも活きる。
ポジショニングをパスが整えてくれるからセカンドボールをよく拾った。
ああいう時間を増やさなければならない。
雨の中棒立ちで並んで、ガタガタ震えながらキックオフを迎え、一分で失点、最後には4点も取られてけちょんけちょんの試合であっても、
一敗は一敗。今日も明日もサッカーは続く。
とにかくヴェルディに勝つのだ。
ヴェルディに勝ち、クソみたいな今日を塗り替えてサッカーを続けた先に、あわよくば見えてくるJ1をつかみに行くのだ。
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ということで、カターレは公共交通での観戦が便利です。
駅からバスが楽。
ガンバゴル裏。正直ガンバのゴル裏かっこよかった。流石すげーな。
カターレも人数じゃ互角だが、声量と練度に差があった。って冷静に批評するなら貴様もゴル裏行けと言われそうですが。
威風堂々を高らかに歌い上げるゴル裏。普段はやってないよね?ちょっと感動した。
で、コレオグラフィー。ぎりぎりまで空席多かったから人数やばかったと思う。
県総は芝生がなあああ。果てしなく残念。スタジアムのせいで魅力が大幅減ですよ。
試合は淡々とすぎました。開始直前に雨が止んだのでありがたかった。
ダイナミックな青空も見えた。ちなみに4点取られた頃。
もう遠藤にフリーキック蹴らせて5点目見ようぜ!って心境でした。
帰りももちろんバスです。
渋滞知らずで一気に富山駅まで行ける。運転しなくて良いから寝て帰れるのも大きな魅力です。
富山駅に降り立つ。いつもは総曲輪で降りれるのに、今日は満席ピストン輸送が必要だからか素通りでした。
ので、ぼちぼち歩いて帰る事に。
清々しく負けたけど、何か思う事もあってシャッターを切りつつ帰りましたとさ。おしまい。
満島ひかりのカロリーメイトCMのロマン飛行が名曲すぎてカターレのテーマソングにしたい!したい!