イキナリなんのタイトルだとお考えでしょうが、要は敵地に潜入してどうにかするスパイの物語三編です。
簡単に紹介すると
『三重スパイ』:アフガニスタンでCIA史上最悪のテロ被害を実行した男を巡る物語
『アルゴ』:イランのアメリカ大使館占拠事件の裏で行われた救出作戦
『メタルギア・ソリッド4』:みんな大好きソリッド・スネークの大作戦
であります。分かっていると思うけどメタルギアはゲーム。上二つはノンフィクションです。
メタルギアはシリーズ通じて楽しんで来たゲームなので、ようやくクリアしましたというところ。
発売から何年もすぎてしまったので中古でひっそりやりました。
うちのPS3はメタルギアとTORNE&NASNEの為だけにあるな。ほぼHDDレコーダーになってるし。
NASNEは外出先から録画予約出来て大変便利なので、その辺そのうちレビューしたい。
で、『三重スパイ』と『アルゴ』
どちらも実話で、CIAが関わっている点が同じ。ただ時代が違う。
『三重スパイ』は特にここ10年の出来事。9.11以降アルカイダと激しく戦うアメリカを様々な点から描いている。
一方『アルゴ』は30年以上前の出来事。当時は友好関係にあったイランとアメリカの間に起きた決定的な事件の背後で起きた出来事を描いている。
ノンフィクションを面白さで比較するのもどうかと思うが、圧倒的に『三重スパイ』が面白かった。
というのも『アルゴ』は著者が作戦立案実行者本人だからか、むちゃくちゃ自慢話のドヤ感に満ちている。
ドヤな部分を読み飛ばしたら意外と内容が薄くて。本当は重たい事件なんだけどね。
肝心の救出作戦があっさり終わってしまうんだよなあ。作戦の骨子は有名だけど、ここは言わないでおく。知らない方がきっと面白い。
ずっと日の当たらない場所で活躍していた人だからか、俺はこんなに凄い事やってたんだぜ!って言いたかった欲求不満が爆発して作戦に関係あるのかないのか分からないことを俺様完璧超人みたいな語り口で書き進めるもんだから胸焼けが酷いです。いや、救出作戦の下りは緊張感があって良かったのは間違いないが。
映画化したのでレンタル開始を待ちたい所です。
あ、途中で『スエズ運河を消せ』に言及があって、流石似た者同士だと思いました。こうやって繋がるのは良い。
『三重スパイ』は凄い本です。アメリカ視点だけでなく、アルカイダ側の事情もよく取材されている。
最近あったアルジェリアのプラントテロ、実名報道にしか価値を見いだせない日本の報道内容の薄さにマスコミの必要性ってなんだろうと思ったけど、この本を読んでしまうとますますその差を実感する。ジャーナリズムの全力は凄い。
これも詳しくは言わないが、言い様の無いどうしようもない事件を、濃密な取材で構成し、ついには動機と背景に一定の示唆を与える事に成功したすさまじいノンフィクションだ。
ただし構成は映画的で、最初に事件、すぐに時代をさかのぼり、事件に至る様々な出来事をアメリカ、アルカイダ、アフガニスタンやパキスタンそれぞれの立場を出来るだけ公平に描いて、収束させていく。
なんで最初に事件を描いたのか。
オチでいいじゃないと思ったけど、最初にその事件の起き方を描かないとアメリカ側の驚きが伝わらないんだな。
今の時代の出来事なので、最新の戦争がどのように進むのかが端的に描かれている。
その内容がまたすごくて、例えば無人兵器プレデターが怖い。
RQ-1 プレデター – Wikipedia
実践投入されているのはなんとなく知っていたけど、実際の立ち回りは正直エグい。
アメリカが味方で良かったと心底思うくらい。
プレデターと索敵部隊のコンビでグイグイ進む対テロ戦争が『三重スパイ』の物語に鏤められていて、スパイよりむしろプレデターが主役に迫る怖さを醸し出している。
感想文に収集をつけられる程この分野の知識を知らないので言いっぱなしで終わりますが、一読をお勧めしたい本です『三重スパイ』。
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『三重スパイ』はこの前、東京弾丸ツアーしたときに読んだ。
仕事が立て込んでいて、ほぼ飲み会だけのための道中に寝ようと思っていたけど、読み始めたら寝れなくて、おかげでベロベロになってしまった。
終電を乗り継いでなんとか実家に向かう最中、気づいたら関係ない水道橋にいてもうだめだと思ったけどギリギリ帰れた。東京マジ魔界。
Pentax Q10だけを持っていったので、小回りが効いて良かった。やっぱり小さいカメラは楽チンです。